miiboDesigner の岡大徳です。
miiboが新たに導入した「AI分析機能(β)」は、AI評価に関する学術研究の知見を参考に開発されました。本日は、この機能の背景となる研究、特にG-EVALフレームワークについてご紹介いたします。
G-EVAL:AIチャットボット評価の新たな指標
G-EVALは、以下の論文で提案された革新的なAI評価フレームワークです。
論文タイトル:「G-EVAL: NLG Evaluation using GPT-4 with Better Human Alignment」
著者:Yang Liu, Dan Iter, Yichong Xu, Shuohang Wang, Ruochen Xu, Chenguang Zhu
所属:Microsoft Cognitive Services Research
公開日:2023年5月23日(arXiv)
この研究は、大規模言語モデル(LLM)を活用してAIの生成テキストを評価する新しいアプローチを提案しています。
G-EVALの主要な特徴
GPT-4の活用: 最新のAI技術を評価プロセスに導入し、高度な言語理解を実現。
チェーン・オブ・ソート方式: 人間の思考プロセスを模倣した段階的な評価方法を採用。
フォーム入力パラダイム: 評価結果を構造化されたフォーム形式で出力。
人間の評価との高い相関: 従来の手法を上回る、人間の判断に近い評価を実現。
G-EVALの革新性
1. チェーン・オブ・ソート方式
G-EVALは、評価プロセスを複数の段階に分けて実行します。例えば、テキストの一貫性を評価する際の思考プロセス:
記事の主題と要点の特定
要約と原文の比較
情報の提示順序と論理性の評価
評価基準に基づくスコアの割り当て
この方式により、人間の専門家に近い詳細な評価が可能になります。
2. フォーム入力パラダイム
G-EVALは評価結果をフォーム形式で出力します。例:
一貫性:4/5
関連性:3/5
文法的正確性:5/5
この構造化された評価により、AIの強みと改善点を明確に特定できます。
3. トークン確率を利用した精密なスコアリング
G-EVALは、AIの出力トークンの確率を利用してより精密なスコアリングを実現します。例:
単純な整数スコア:4/5
確率重み付けスコア:3.72/5
この手法により、AIの性能をより正確に評価し、細かな改善点を特定できます。
研究結果の概要
G-EVALの性能は、複数のタスクで検証されました。研究者たちは、G-EVALによる評価が人間の評価と似た傾向を示すことを発見しました。ただし、これらの結果は特定の条件下での実験結果であり、全ての状況で同様の結果が得られるとは限りません。
研究結果の詳細はこちら(https://arxiv.org/abs/2303.16634)でご確認ください。
研究の限界と今後の課題
論文では、G-EVALの限界と今後の研究課題についても言及されています:
AIの持つ可能性のある偏り: 評価に使用するAIが持つ可能性のある偏りへの対処が必要です。
計算にかかるコスト: 大規模なAIを使用するため、処理に時間やコストがかかる可能性があります。
様々な言語への適用: 英語以外の言語での性能確認が必要です。
長い文章や会話の評価: 長文や長時間の対話の評価方法について、さらなる研究が必要です。
miiboの「AI分析機能(β)」について
miiboの「AI分析機能(β)」は、G-EVALを含む様々なAI評価研究の知見を参考にしています。ただし、miiboの具体的な実装内容は公表されておらず、これらの研究成果がどのように活用されているかは明らかではありません。
miiboは、学術研究の知見を参考にしつつ、独自のアプローチでAIチャットボットの評価と改善を支援することを目指しています。
まとめ
G-EVALは、AIによるテキスト生成の評価に新たな視点を提供する研究の一例です。miiboの「AI分析機能(β)」は、このような研究成果を参考に開発され、AIチャットボットの品質向上を支援することを目指しています。
学術研究と実用化の間には多くのステップがありますが、miiboは最新の知見を取り入れながら、より効果的なAI開発支援ツールの提供に努めています。
皆様のAI開発プロジェクトに、この新機能がお役立ていただければ幸いです。
それでは、また次回のニュースレターでお会いしましょう。
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miiboガイドページ:https://daitoku0110.net/miibo-guide/